童話の様に柔らかな文体で、しかし人間の最も深い闇の部分を明瞭に描く文章力に感心しました。幸せな人間は全てを受け入れる心の形をしていて、不幸な人間は全てから守るための心の形をしている。しかし、それは変えた形が悪いのではなく『そう変えざる負えなかった現状に問題がある』ということまで本質を突いているのが良いですね。結末も素敵です。短い言葉で、ここまで人間の心理を理解させられる文章力は凄いと思いました。
一見すると絵本のような可愛らしい語り口でありながら、その実、傷つきすぎた人間が感情を失っていく精神的防衛反応を鮮烈に描き出した、非常に切なく完成度の高い短編です。「傷つかないために空っぽになる」という選択が、「幸せや愛をも素通りさせてしまう」という最大の悲劇へと繋がる構成に、深く心を揺さぶられました。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(218文字)