太陽の失われた世界で、己の身を犠牲に太陽の代わりを務めようとする新たな聖女リゼルと、たった一人の家族を救うために世界の理に抗おうとするセリス。二人の少女の美しくも儚い、愛に満ち溢れた物語です。
恥ずかしながら、読み終えた直後の胸中に渦巻く悲喜交々を、上手く言葉に出来ませんでした。思い出しただけで涙がこぼれそうなほどです。
しばらく時間を置いて振り返った時、この物語はお互いを想い合う人々の愛の物語なのだと思うに至りました。
愛には、様々な形があります。
この世界は、あらすじからもわかるとおりにとっくの昔に詰んでいるのに、そこで生きる人々は誰も彼もが愛に満ち溢れています。しかし、愛とは時に自己中心的なものでもある。愛するが故に誰かのことを深く想いながらも、その誰かにとっては望まない結末へと進んでしまうことだってある。
人間とは、そういう生き物かもしれない。人生とは、そういうものかもしれない。
それでも。そうだとしても。何もかもが上手く行くはずはないけれど、必死に足掻いて今日を生き続けている。明日を少しでも良いものに変えるために。
この物語が私の心だとか魂だとかを大きく揺さぶったのは、きっとそういう綺麗事だけでは片付けられない、世界の根底にある名状しがたいものを紡いでいる物語だからかもしれません。
結末の是非を語るのは野暮だとは思うのですが、この物語に関しては私は声を大にしてこれだけは語りたい。
この物語の結末は、この形以外には有り得ない、と。