プロローグの世界観設定が秀逸だ。「次元収縮」によって世界中の国境が消え、全てが一つの巨大都市〔タルタロス〕に押し潰された——このハイコンセプトな設定が数行で伝わる。エッフェル塔をくぐった先に自由の女神像が見える、という一文だけで、混沌とした世界の異様さが体感できる。
鉄仮面の死神アグロと、お喋りなバイク・キャシーの掛け合いが軽快で心地よい。「どうせまた自分語りにでも酔ってたんでしょ」という減らず口や、依頼人を待たせて拗ねるキャシーの人間くささが、ハードボイルドな死神稼業とのギャップを生んでいる。
第1話ではジャンクフード通りでのトカゲ男の追跡が始まり、テンポの良いアクションに引き込まれる。「愛する者を失うという赦されざる罪を背負って死神は今日も走る」という贖罪のテーマが、軽妙な会話劇の奥に静かに響いている。