宮廷の華やかな装飾と、その裏に蠢く陰謀。
父親の無実を晴らすため、その渦中へと飛び込むのは、天真爛漫ながら卓越した観察眼を持つ少女・杏玉。
単なる甘味としてだけでなく、『飴』というテーマを巧みに組み込んだ緻密なミステリとロジックが非常に心地よかったです。
そして、作中に出てくる食べ物がとにかく美味しそうで、読んでいて「あ、これ食べたいな」なんて思ってしまいました。笑
さらに!ミステリーだけでなく甘酸っぱい恋愛要素も尊い…!
互いの知恵と信頼で危機を乗り越えていく二人の距離感には、終始胸キュンが止まりません♡
伏線の回収から結末の爽快感まで一気に読ませる、とっても面白い一作です!
※『第10話 娥舎の噂は女へと帰る』までのレビューです。
後宮の冷たい石畳の上で、不可解な死を遂げた一人の貴妃。
容疑者として囚われた父を救うため、文字の読めない飴屋の娘・杏玉は、五感と職人の誇りだけを武器に宮中の闇へと足を踏み入れます。
そこで出会ったのは、圧倒的な気品と隠しきれない高貴さを纏う謎の青年・黎洵。
敵か味方かも定まらぬまま、ひとつの証拠を巡って結ばれる「一蓮托生の秘密」が、張り詰めたサスペンスの中に極上の緊張感と甘やかな温度をもたらします。
本作の白眉は、絢爛な後宮の生態系を鮮やかにあぶり出す巧みな構成美です。
宮中の下働きたちが交わす他愛のない噂話から、妃たちの楽器の割り振りに至るまで、何気ない日常の会話すべてが巨大な推理の布石となって緻密に編み上げられています。
互いの秘密を抱えた二人が立ち上る湯気の向こうで交わす、名前を呼ぶ声や視線の機微。
冷酷な権力闘争の中でこそ際立つ、繊細で体温の通った心理描写に胸を掴まれます。
甘い蜜の香りに惑わされず、散りばめられた真実の欠片をぜひ一緒に見届けてみてください。