この作品は、埼玉の市町村や名産品を大胆に戦国物へ落とし込みながら、その土地に暮らす人々の「郷土への誇り」まで物語の軸として描いているところが魅力だと思います。
特に印象に残ったのが、川口たちが賊と戦う中、銃弾から身を守ったのが草加せんべいだった場面です。思わず笑ってしまうご当地ネタでありながら、それを単なる小ネタで終わらせず、戦闘そのものへ組み込んでいるところに、この作品ならではの個性を感じました。
また、鴻巣の運転免許センター移設をめぐる争いも印象的です。便利さを求める帝都側に対して、鴻巣は長年守ってきた土地の誇りとして抵抗し、さらに北本が表では帝都軍に従いながら、裏では鴻巣へ義勇兵を送る展開へ発展していきます。
一見すると市町村同士が戦うご当地コメディですが、単なる埼玉ネタの連続ではなく、中央への権力集中と地方の誇り、命令に従う立場と個人の信念といったテーマまで自然に物語へ組み込まれている点が、この作品の芯なのだと思います。
序盤までの紹介となりますが、埼玉のご当地ネタと本格的な群雄戦記の組み合わせがお好きな方にはおすすめの物語だと思います。