liliumは、植物のユリを意味する学術語です。
そのタイトルのせいでしょうか、
ほんの少しだけ、
女性同士の愛を思わせるような、
そんな詩情が薫り立っているのを感じました。
それにしても、
柔らかいけれど芯がある、
優しいけれど鋭さがある、
その相反する魅力を包み込む筆致の流麗さに、
少なからず陶酔感を覚えてしまいます。
6首目。
ひとつだけ秘密を持って死ねるなら
あなたの名前をおぼえていたい
意味は分かりやすく、
言葉も平明でありながら、
激しさと静かさが同居する愛の告白です。
抑制の利いた技巧に感嘆するばかりです。
短歌10首で書いた愛の詩を読んでいる、
そんな美しい錯覚が静かに揺らめく、
作者ならではの瑞々しい感性が光る、
現代的な愛の告白を結晶化した短歌集と言えるでしょう。
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