短歌は誰でも気軽に詠める、とはよく言われますが、実際に始めてみるとそんなに単純じゃないな、と感じることが多いです。
今作は、まずエピソードタイトルとして作者様の気持ちがキャッチコピーのように置かれ、そこから短歌へとつながっていく構成になっていて、これがとても読みやすいと感じました。
短歌に入る前に心の準備ができる、というか。
詠み手の視点にすっと乗れる感覚があります。
羨ましいなって思うのは、日常をここまでナチュラルに詠めること。特別な出来事ではなく、ふとした瞬間や気づきを、力まず自然な言葉で掬い取っているんですよね。自分自身も短歌を詠むのでわかるのですが、これは実はかなり難しい。語感に違和感がなく、すっと読めてしまう歌ほど、裏では相当な調整があるはずです。
奇をてらわない。飾らない。それでいて、ちゃんと一首として立っている。その純粋さこそが、この一首部門にエントリーした本作の魅力だと思います。まさに、日々の中から拾い上げられた、それぞれが珠玉の一首です。
中でも好きなのを引用させていただくと……。
作者様コメント「ささいな現象に目を向けられるほどに余裕があるしあわせ」
――たっぷりと淡い光を溜め込んだクリーム色のカーテンの襞
光を「溜め込む」という捉え方と、カーテンの襞という具体の描写が、静かで穏やかな時間。これって、本当に余裕がないと見られない風景だなって思います。
更新はまだまだ続きそう。
これからの更新も楽しみにしています!