衛星軌道での強襲作戦。
謎の無人機動兵器群との戦いで幾億の命が失われた世界。
尾神蕾椛(らいか)が挑むのは、人類が突き止めた敵の中枢システムへの単独強襲――
このハードSF的な導入がまず圧倒的で、緊張感とスケールの大きさが一気に読者を引き込む。
しかし次に目を覚ました場所は、見知らぬ部屋のベッドの上。
剣と魔法、動物と機械が共存する異世界。
しかも蕾椛は「魔法学術院の学生にならないといけない」と告げられる。
衛星軌道の死闘から一転、学園ファンタジーへと転がり込むギャップが鮮烈で、SFとファンタジーの境界を軽々と飛び越える構成が魅力。
さらにタイトルの「双子の私に双子の妹ができた話」が示すように、蕾椛の存在そのものに“複製”や“分岐”を思わせる謎が潜んでいる。
故障した装備を修理するために学術院へ通うという日常パートの裏で、彼女がなぜ異世界に落ちたのか、なぜ“もう一人の妹”が存在するのか、衛星軌道の戦いと異世界の生活がどう繋がるのか――
物語は静かに大きな謎へ向かっていく。
ハードSFの緊張感と、異世界学園ファンタジーの温度差。
そして“自分が二人いる”かのような不思議な家族構造。
ジャンルの境界線を軽やかに越える、独創的な転移ファンタジー。