亡き祖父から遺された古い家。
そこで始めた、ほんの少し刺激的な生活配信。
最初は、それだけだったはずなのです。
けれど、配信ログ、コメント欄、通話記録、古い資料、そして後から加えられた「編集注」。
断片をひとつずつ読み進めるうち、いつしかこちらまで、残された記録を追う一人になっている。
この物語で怖いのは、怪異が現れることだけではありません。
誰かが見る。
誰かが聞く。
誰かが保存する。
そして、誰かが広げる。
そんな現代では当たり前の行為が、物語の中の「秘密」と少しずつ重なっていくのです。
さらに恐ろしいのは、怪異と人間の境界が、読み進めるほど曖昧になっていくこと。
不可解な出来事に人の手が見えたかと思えば、人の仕業だけでは説明しきれない何かが残る。
怖いのは幽霊なのか。
人間なのか。
それとも、秘密を共有し続ける「みんな」なのか。
そして、軽率さゆえに少しずつ線を越えてしまう陸斗と、彼を止めながら自らも記録する側へ踏み込んでいく真尋。
二人を単純な善悪に分けない人物描写も、この物語を強くしています。
読み進めるほど、「もっと知りたい」という気持ちそのものが怖くなる。
それでも――ページを閉じられない。
モキュメンタリー、ネットホラー、人怖。
そのどれか一つでも惹かれる方なら、ぜひこの“記録”を覗いてみてください。
ただし——
最後まで、あなたが「読むだけの人」でいられるかは――分かりません。