「理想の王子様」を演じていた青年が異世界へ――。
一見すると王道の異世界ファンタジーですが、物語の中心にあるのは「誰かが望む自分」と「本当の自分」の違いなのが印象的です。
アイドルとして人々の期待に応え続けてきたアラタが、異世界で仲間たちと出会い、戦い、少しずつ自分自身の生き方を探していく。その姿が、かつて世界を救ったという「英雄」の物語と重なっていく構成も面白いです。
特に、アイドル時代に身につけた「人の視線を読む」「相手の意識を誘導する」という能力が、異世界では思わぬ形で戦いに活かされるところが好きでした。
英雄とは何なのか。誰かの理想であり続けることは、本当に幸せなのか。
「シュピーゲル=鏡」というタイトルの意味を考えながら読み進めると、アラタの成長がより深く感じられる作品です。