冷静に見れば狂気のヒトガタに狂気汁を浴びせかけている救いようもない話だが、そこにあるのは歪んだ意識を投影した影絵の惨劇である事には相違ない。ただ、等しく共有出来るのは悍ましさである。何もラストシーンのそれではない。『まるで飼い犬を褒めるような』あれに思わず唸るであろう。ホラーは水槽の水に一滴の猛毒を垂らすのも、鍋に焼けた石を放り込んでも成立する。今作は沸騰した墨汁だ。恐ろしい。