第25話

千年のアイラ 外伝

時の勇者編


第3話「生き残った人類」

トンネルの奥。

揺らめく橙色の光。

アキラは剣の柄に手を添えながら、一歩ずつ近づいていく。

焚き火。

その前には二人。

一人はボロボロの赤いコートを羽織ったドレッドヘアの男。

赤いゴーグルを額に掛け、何かの部品を弄っている。

もう一人は、小柄な少女。

黒いジャケットにショートパンツ。

ゴーグルを頭に乗せ、ナイフを磨いていた。

少女が顔を上げる。

「……オジィ。」

男はゆっくり振り向いた。

アキラと目が合う。

数秒。

沈黙。

男はニヤリと笑った。

「おぉ。」

「久しぶりだな、青年!」

アキラは思わず突っ込む。

「いや、初対面!」

男は豪快に笑う。

「ガハハ!

それもそうか!」

少女は呆れ顔。

「オジィ。

そういうボケいいから。」

オジィは焚き火を指差す。

「座れ。」

「腹減ってるだろ。」

アキラは少し警戒しながらも腰を下ろす。

「ありがとう。」

缶詰が温められていた。

「……肉?」

「イノシシ。」

「今は結構いるぞ。」

「東京にも?」

「人間が減ったからな。」

オジィは肩をすくめた。

少女がじっと見てくる。

「ねぇ。」

「その剣。」

「本物?」

アキラは頷く。

「本物。」

少女は目を細める。

「変な人。」

アキラも苦笑する。

「君にだけは言われたくない。」

ゴーグルにナイフ。

どう見ても十歳の格好じゃない。

少女はムッとした。

「私はミライ。」

「今は新宿自治区。」

胸を張る。


「自治区?」

アキラは聞く。


オジィが静かに話し始める。

「知らんのか?どこから来た?」

「この辺では自治区を作って暮らしてる。」

「壁を築いて。」

「魔族から守って。」

「細々と生きてる。」


アキラは眉をひそめる。


「魔族?」

「なんで東京に?」

オジィは逆に驚いた。


「……お前。」

「どこの自治区だ?」


「東京の出身たが⋯。」

沈黙。

ミライが首を傾げる。


「ていうか、今何年……?」

アキラが聞く。


「そりゃあ⋯」

とオジィが言いかけたその瞬間。


ミライが立ち上がる。

「オジィ。」

「来る。」

ゴゴッ……

トンネルが揺れる。

重い足音。

二つ。

暗闇から現れた。

三メートル近い巨体。

灰色の皮膚。

巨大な棍棒。

「オーガ……。」

二匹。

焚き火の光に照らされる。

ミライが舌打ちする。

「見つかった。」

オジィはゆっくり立ち上がる。

そして当然のように叫んだ。


「ステータス――開け!」

青白いウインドウが空中に現れる。

アキラの目が見開かれる。

「……え?」

オジィは続けて右手を前へ突き出す。

「スキル発動!」

アキラは思わず叫ぶ。

「ええぇぇぇっ!?」

現代人が……スキルを使う!?

――第3話 終――

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