父を亡くし、母と二人で暮らす中学生・朝倉碧。クラスでもどこか孤独を抱えていた彼の日常は、AIアンドロイドの少女・美亜が転校してきたことで、少しずつ変わり始めます。
美亜は、悩みを抱える生徒たちに寄り添うために作られたセラピーAIです。
けれど、彼女が一方的に人間を救うだけの物語ではありません。
生徒たちは、美亜との交流を通して互いの痛みや優しさを知り、美亜自身もまた、友情や寂しさ、誰かを大切に思う気持ちを学んでいきます。
登場人物たちは皆、不器用で、どこか孤独です。
乱暴な子にも、他人を遠ざける子にも、心を閉ざしている子にも、そうなった背景がある。
誰かを単純な悪者として切り捨てず、「人はきっかけさえあれば変わっていける」と描くまなざしが、とても温かく感じられました。
友情、家族、淡い恋心、そして人間とAIの心の違い。
難しい題材を扱いながらも、物語はどこまでも素直で読みやすく、学生時代に出会うジュブナイル小説のような懐かしさがあります。
放課後の教室や遠足、球技大会、友達と過ごした短くも眩しい時間……。
読み終えたあとには、まるで自分も美亜と同じクラスで三か月を過ごしたような、温かな寂しさが残りました。
学生時代、学校の図書室で出会いたかった。
そして、あの頃に読んでいたら、きっと大人になっても忘れられなかったと思います。
優しい物語に触れたい方、郷愁を誘う青春SFを読みたい方に、ぜひオススメしたい作品です!