音大受験に失敗し、自分に何が足りなかったのかを探し始める主人公・黒瀬諒一。そんな彼がさまざまな人と出会い、音楽だけでは見つけられなかったものを少しずつ知っていく姿が描かれています。
私が特に印象に残ったのは、時枝みともというキャラクターでした。
彼女の登場からピアノの演奏シーン、そして、ある台詞をきっかけに一気にその魅力へと惹き込まれていく感覚が、とても印象的でした。
「なるほど、キャラクターの魅力というのはこうやって表現するのか」と、物語を書く身として勉強になったほどです。
元々はゲームのシナリオを小説用に書き直した作品とのことですが、だからこそ「ゲームとしてプレイしたら、どんなふうに感じるんだろう」と気になってしまいました。
ピアノや音楽を題材にしながら、その奥にある誰かを想うことや誰かに支えられることまで丁寧に描かれているのも、本作の大きな魅力です。
夢を追いかけることの眩しさだけではなく、挫折や弱さとも向き合いながら前へ進んでいく――。
そんな青春と成長の物語をじっくり味わいたい方に、ぜひおすすめしたい作品です!
登場人物一人ひとりが紡いだ旋律は、そっと流れてきた。
時には激しく、時には寂しく。
全員に共通しているのは、時の流れだけは同じであること。
前を向いていても、足踏みしても。
誰かの背中を追っていたり、実は追われている側だったり。
それぞれに夢があり、想いがある。
一見、なんでもないと思うことであっても、誰かから見たら大きな何かを抱えていることもある。
静かな日々を経ていくうちに、変わっていくモノは必ずある。
でも、変わらないモノもある。
何が大切なのか。
大切なモノの見つけ方。
それがどう紡がれて行くのか。
そんな、とてもささやかな、でも大切なことは何かを感じられた作品です。