死んだ母が語っていた、海の向こうにあるという根源の国「ニライカナイ」。時間が固まった語り手は、母の故郷の島へと旅立つ。疲れ果てた彼女を宿の老女はやさしく迎え、ニライカナイへ去った母は今もなお見守っているのだと教えてくれる。海と陽光、そして嵐のなかで、母は、彼女は、蘇ってきた。
病室で母が言った。海の彼方にはニライカナイという世界がある。生命が生まれ、最後に還る。其処に苦しみはなく、永遠の平穏が約束されるという。母が亡くなり、悲しみから逃れるために彼女が見た青の原点を探る。果てしない水平線は、日によって表情を変えた。人は死んでも、無になるわけではない。海へと還り、巡っている。嵐の夜を越えて、新たな命が育まれる。壊れ、また生まれる。大いなる循環の中に、私たちは生きている。