快楽殺人者・千尋の前に現れるのは、ダメ勇者とギャル魔王――
この時点で既にカオスなのに、物語はそこからさらに加速する。
赤金《あかがね》の勇者マリアベルは、勇者らしからぬ食欲と自由奔放さで千尋を呆れさせるが、魔族討伐という確かな実績を持つ本物の勇者。
“強いのにダメ”という絶妙なキャラ造形が、物語のテンポを軽快にしている。
父アンドレアスと姉デボネアの葬儀が行われる中、平穏は長く続かない。
夢魔シュナレと赤髪のメネシオンが神殿へ襲来し、勇者・魔族・エルフ・シリアルキラーが入り乱れる混戦へ突入する。
この“勢力図がぐちゃぐちゃになる”展開が本作の魅力で、敵同士のはずなのにどこか噛み合わない三人の掛け合いがクセになる。
そして、アリシアの身体から溢れた謎の光によって、千尋・アリシア・メネシオンの三人は誰も知らない地下神殿へ転移する。
閉ざされた空間で明かされるのは、魔族・人間・エルフ、それぞれが語り継いできた“世界の真実”。
快楽殺人者がメイドとして暗躍し、ギャル魔王が勇者になり、勢力が入り乱れる異世界。
語られる真実はどれも一筋縄ではいかない。
混沌とユーモアとダークさが絶妙に混ざり合う、シリーズ第2段らしい“世界の核心”へ迫る一作。