正直に言うと、プロローグを読んだ時点で「これは最後まで読まされるやつだ」と思ってしまいました。そして実際そうなりましたけども。。
記憶をなくした「先輩」と、彼をずっと探していた新入社員・美咲。この距離が縮まっていく感じが、とにかく上手いんです。職場ではちゃんとした礼儀正しい後輩なのに、二人きりになると急に温度が変わる。その切り替わりを見せられるたびに、こっちまで一緒にドキッとなりました。
読んでいて怖いなと思ったのは、まわりの人が誰も気づかないところでした。同僚たちは「仲のいい先輩後輩だね」で流していく。気づいているのは先輩と、読んでいる自分だけ。この置いてけぼりの感覚が、じわじわ効いてきます。
中盤、周りの人が次々に倒れて二人きりの状況ができあがっていくあたりは、はっきり書かれていないぶん、かえってゾッとしました。そして最後の写真と「ずっといっしょ」の文字。ああ、この子にとってはこれが全部 愛 なんだ、と思うと、切ないような、こわいような、なんとも言えない気持ちになります。
一話が短くてサッと読めるのに、読み終わるとしっかり重いものが残る。この手の重い恋愛が好きな人は、間違いなくハマると思います。この先どうなってしまうのか、続きが楽しみです。