『レコード・エンド』、読み終えて胸がいっぱいになりました。
「共有ログ」という設定がただのSF的な小道具で終わらず、二人の関係そのものを映す鏡になっているのが本当に見事だと思いました。生きていた頃には交わせなかった言葉が、亡くなった後の時間でようやく交わされていく展開に、何度も胸が締め付けられました。
特に、巡が「今のほうがちゃんと話せている」と気づいてしまう場面。その痛みと後ろめたさの描き方が本当にリアルで、失ってから初めて向き合えるという皮肉さが、静かな筆致の中にじんわりと沁みてきました。
心路の言葉選びがとても愛らしく、軽口の奥に本音が透けて見える会話のテンポも心地よかったです。最後、彼女が消えていく場面では涙が止まりませんでした。「温度の残し方」という言葉が、読み終えた後もずっと心に残っています。
とても優しく、そして誠実な一篇でした。素敵な物語をありがとうございます。
これからの作品も楽しみにしています。