本作は奈良時代を舞台に、不器用で愛らしい少女・綿阿女(わたあめ)の初々しい恋と成長を描いた、色鮮やかな歴史乙女ファンタジーです。
ヒロインの綿阿女(わたあめ)は、遠く上野国(かみつけのくに)からやってきたばかりの素朴で一生懸命な女の子。
彼女にいきなり訪れた絶体絶命のピンチに現れたのは、京の女性たちの憧れの的でありながら、女性たちにそっけない態度をとる「薄氷の君」こと櫻城王(さくらぎおう)でした。
住む世界が違いすぎる二人が、平城宮というきらびやかな空間でどう距離を縮めていくのか、王道にして最高の身分差ロマンスに胸が高鳴ります。
さらに物語を盛り上げるのが、ファンタジーと歴史描写の絶妙な織り交ぜ方です!
綿阿女が持つ不思議な「金の針」や、おませに喋りかけてくるカラスのぬいぐるみ「コロちゃん」の存在がポップな彩りを添え、綿阿女とのコミカルな掛け合いには、一気に物語に引き込まれてしまいます。
また、歴史モノとしてのディテールの深さも見逃せません!
格式高い平城宮の日常や、目に鮮やかな衣服の色彩が息づくような筆致で瑞々しく描かれています。道幅や距離のリアリティ、武官たちがまとう色鮮やかな衣服の細やかな描写は素晴らしく、まるでタイムスリップしたかのような臨場感を与えてきます。
華やかな采女(うねめ)たちや、宮廷の裏方である「縫部司(ぬいべのつかさ)」の仕事風景など、当時の世界観がたっぷりと詰め込まれていて読み応え抜群です。
───いつか、恋がしてみたい。 春風のように優しく、蜂蜜のように甘やかな、心ときめく恋が、してみたいの。
この少女の願いは、きらびやかな宮廷でどのように花開くのか? 歴史ロマンスが好きな方はもちろん、甘く切ない恋模様にドキドキしたいすべての人に全力で推薦したい一作です!
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