笑っていたはずなのに、いつの間にか恋の行方を応援していました。
タイトルや冒頭の勢いから、ハイテンポなギャグ作品だと思って読み始めました。
けれど、読み進めるほどに印象が変わります。
怒ればケツバット、語れば仏教用語という強烈な個性を持つ寺来薙心。しかし、その内側にある恋心は驚くほど真っ直ぐで、不器用で、年相応の女の子そのものです。
背後霊の環さんとの軽快な掛け合いには何度も笑わされる一方で、好きな人の何気ない出来事に一喜一憂し、暴走して、落ち込んで、それでも恋を諦めない姿には思わず胸を打たれました。
ギャグだけで終わらせず、恋愛としても読者の心を動かしてくれる作品です。
笑えるのに切ない。その絶妙なバランスがとても心地よく、気づけば薙心の恋を心から応援していました。
彼女がいつか想いを届け、愛する人と手を繋げるその日まで、最後まで読み続けたい作品です。
まさかの「お寺」!
本作は、「地雷系女子」と見せかけて実は「寺の娘」という全力の勘違いタイトルの衝撃から、さらに冒頭より繰り出される「お寺」の知識に圧倒される一作です。
知らない。
日本に住んでいて、身近なはずの「お寺」ですが、知らない言葉と知識が、これでもかと叩きつけられます。
まさにケツバットの如く。
最大のフックはここでしょう。
しかし、本作の真骨頂は「主人公・薙心のあまりのピュアさと一途さ」だと感じました。
そう、「お寺知識」で目がくらみそうな中、本作は丁寧にラブコメを描いているのです。
お寺という少し特殊な実家の環境や家族とのコミカルな日常が、甘酸っぱい青春ラブコメに程よいアクセントが、作品の持ち味です。
そして、コメディに関しては、瞬発力が高く、シリアスになりすぎない軽快な筆致で、読者を飽きさせずに一気読みさせる可読性の高さを備えています。
「地雷系」と誤解されがちな実家がお寺の純情少女・薙心が、3年越しの片想いを実らせるために奮闘する、笑いと健気な胸キュンが詰まった一途系ドタバタ青春ラブコメ。
これは、玉石混交のカクヨムの中で、際立った一作です。
まずは、なんだろう?と思って触れてみてください。
そして、その劇薬と王道に酔いしれていただければと思います。
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