東の国境を預かる領主エヴェルトは、暴力で戦場を蹂躙する“鬼”。
その妻アルフヒルダは、人の知性と命を触媒とする術を操る“魔女”。
二人が出会った瞬間に完成した共犯関係は、道徳も慈悲も持ち合わせないまま、世界を破滅へと導いていく。
隣領の不穏な動きが引き金となり、夫妻の“凄惨な遊戯”が幕を開ける。
武力と謀略が容赦なく振るわれ、敵の決死の抵抗は余興へと変貌し、世界は彼らのために血を流し、夫妻はその光景に微笑む。
外の世界がどれほど血と灰に染まろうとも、彼らの寝室だけは甘やかな平穏に満ちている――
この対比が、物語全体に妖しく美しい緊張感を与えている。
倫理はない。救済もない。
悪人たちが一切改心せず、独自の価値観で支配と略奪を続ける。
それでも二人の関係には奇妙な“愛”が確かに存在し、その歪んだロマンスが読者を強烈に惹きつける。
美しく、凄惨で、甘美で、破滅的。
これは世界を壊しながら微笑む夫婦のダークファンタジー。