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春賀

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★★★
★3
1人が評価しました
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本文ありのおすすめレビュー

  • エス&ジョージ
    188件の
    レビューを投稿
    ★★★ Excellent!!!

    鹿の背にキノコが生えた東京を一人で歩く孤独

    第1話「残響」の冒頭一文「コンビニの自動ドアはまだ動いていた」が全てを物語る。

    人類が消えた後の東京。主人公・透は一人でその廃墟を歩いている。この作品の凄みは、終末を「絶望」として描かないところだ。信号が消えた交差点が草原になっている描写、渋谷のハチ公像の跡に木が生えている描写——失われたものの悲しさを直接語らず、変化した景色だけで伝える。

    そして「キノコジカ」の存在感が圧倒的だ。鹿の背中に大きなキノコが生えたその生き物が、渋谷駅の構内で仲間と静かに暮らしている場面の美しさ。透が「ここはお前の家だったんだな」と呟く一言に、人間がいなくなった世界の静けさと、その中の豊かさが滲む。

    短い一文を積み重ねる文体が、透の孤独な思考のリズムと完璧にリンクしている。終盤に現れる床の震動が次話への引きとして完璧だ。

    • 2026年7月3日 12:09