「帰納法」について説明する文章。
そう聞けば、もっと簡潔に、もっと分かりやすく書くこともできるのかもしれません。
けれど、この作品はそんな最短距離を選ばない。
量と質から始まり、パズルを組み、熱気球で空へ昇り、ついには「ああ…わたしって地球人」という境地へ辿り着く。
その自由自在な思考の飛躍に振り回されながら、読んでいるこちらも一つ、また一つと「世界を見るためのピース」を拾っているような気持ちになりました。
そして最後まで読んで気づきます。
この文章そのものが、作品の主張を実演しているのだ、と。
言葉を重ねる。
考えを重ねる。
一見、遠回りに思えるほどの〈量〉を積み上げる。
その果てに、他の誰でもない「私なりの特質」が生まれる。
効率や分かりやすさが求められる時代だからこそ、こんなにも騒々しく、寄り道をしながら、自分の頭で世界を観ようとする文章が面白い。
世界よ、もっと騒々しく創造せよ。
その言葉を、作品そのものの姿で見せてもらったような読後でした。