このお話は、暗殺者集団・飛戒団で育った青年が、頭領の遺言を果そうとしたことがきっかけとなって、結果的に正義に尽力する物語です。彼は頭領の遺言に従うため、帝都で人探しをします。出会った娘はなんと頭領の娘でした。彼女は治安維持部隊を率いる正義のヒロインでした。青年は正体を隠して、彼女の従士になろうとします。試験ではいったん失敗しますが、なんとか彼女のそばで働くことができるようになります。さてその頃、帝都では治安悪化が進み、また警吏内部には脅威がうごめいていました。正義の味方を守りたい悪人と、正義を信じる娘、ぜひこの二人の物語を味わってください。
主人公アルは、大陸中で恐れられた暗殺者集団の生き残り。
人を殺すことにためらいはなく、証拠を隠し、必要なら平然と嘘もつく。
まさしく「純度100%の悪人」です。
けれど、父同然に慕った亡き頭領から託された娘・レテシアを守りたいという想いだけは、驚くほど真っ直ぐ。
一方のレテシアは、罪を犯した者にも生きて償う機会を与えようとする、絵に描いたような正義の味方です。
守りたい相手は同じ。
けれど、守るために選ぶ方法は正反対。
その危ういすれ違いが軽快な笑いを生みながら、「アルの真実を知ったとき、彼女はどうするのか」という緊張を物語の奥に走らせています。
蒸気機関や義手、独創的な武器と超技術が息づく世界も魅力的。
脚本形式で描かれる場面転換は小気味よく、人物の表情や動き、迫力ある戦闘が、漫画の一コマ一コマのように鮮やかに浮かびました。
それでも胸に残るのは、アルをこの世につなぎ止めた亡き頭領への深い想いと、その遺言によって結ばれた二人の関係です。
悪の力は、正義を守ることができるのか。
笑えて、熱くて、残酷で、どこか切ない。
正反対の二人の出会いを、濃密な全五話で描いたスチームパンク・ダークファンタジーです。