ネグレクトと虐待という重く苦しい現実の中で、一瞬だけ交錯した幼い2人の「黄昏(の約束」が、美しくもあまりに切なく心に刺さる傑作です。悲劇的な結末でありながらも、主人公が前を向いて生きるための「救い」としてあの日の言葉が機能しており、読後感には深い余韻が残ります。
周りには誰もいない。誰も、助けてなんかくれない。そんなあの日々に、その男の子は、たくましい言葉と、甘い味を分けてくれた。その約束は、遠いものになってしまったけれど。あの味と、あの言葉は、いまも黄昏のような寂しさをはらってくれる。