前半の、若菜との別れや「大丈夫」という言葉で自分を覆い隠していくシンの内面描写が実にリアルで、胸が締め付けられます。だからこそ、後半で山を下りてからの「誰もいない街」の静けさや、ラストに漂う「腐りかけた果物のような、甘い匂い」という五感に訴えかける不気味な引きが、鮮烈な恐怖として突き刺さります。