タグには『恋愛』とあるが、寧ろ その後 を
深く掘り下げた人間ドラマでもある。
往々にしてヒトにありがちな、然し乍ら
いざ、それを言語化するとなると途轍もない
困難に陥りがちなテーマを、分かりやすく
文章に落とし込んだ大変に稀有な掌編と
言えるだろう。
嘗て恋人同士であった男と女。その共通の
友人から、別れた後の女の様子を聞く男。
互いに相手を思い遣る事。それが極まると
救いの無い話になるのだろう。
其処には悪意は欠片も無く、只管相手への
思い遣りに満ちている。それが勢い自らを
縛り、又相手をも縛る 枷 となる事を、
ヒトであるが故の諦観と共に描き切った
この作品。
読んでいて、得心がゆくが
敢えてこの作品に 解 はない。
それは、はなから答えのない方程式であり
ヒトはいかに 揺らぎ の中を彷徨う
生き物なのかを自ずと知るからだ。
静謐さの中に絶望は無い。けれども
更に深い諦念が、静かに満ちてゆく。