「たぬきについての一考察」と同じ日に投稿されたこちらは、嘘の考察コメディではなく本格的な神話寓話として書かれていて、同じ作者とは思えないほどトーンが違う。
圧政に苦しむ男が鹿の角から「ちくわ」を得て、入れたものを倍にする奇跡の管として村を救うこの出発点は温かく、聖書的な素朴さがある。しかし人々の欲望は止まらず、食料から銅貨へ、銅貨から武器へ、武器から国家へとエスカレートし、文明ごと飲み込まれるまでの流れが「どんどん」という一語の繰り返しだけで語られる。その単調なリズムが、欲望の無限ループをそのまま文体で表現していて巧みだ。
最初にちくわを見つけた男が「これは神からの贈り物ではなかったのか」と言い、握りつぶす場面が物語の核心だ。そして鹿が虚空に現れ、静かに角にちくわを差し込んで消える最初の場面への完璧な円環で終わる。
「知らんけど」という後記の一言で全部崩されるのもYu-Ma氏らしく、「たぬきについての一考察」の「全部嘘だ」と並べると、この作者の「真顔で語って最後に崩す」という美学が見えてくる。ちくわで創世記を書ける人間が他にいるだろうか。
本作は飢餓に苦しむ一人の男が不思議な"管"を手に入れたところから始まる寓話風短編作品です。
男が見つけた奇跡の力により家族は救われ、村は繁栄し、やがて新たな国が興る――。
豊かになった世界で人は何を願い、何を祈り、そして何を呪うのか。
短いながらも人間と世界が変わっていく様子が淡々と描かれており、まるで神話や創世譚を読んだかのような不思議な読後感を味わうことができます。
その"聖なる管"は本当にチクワだったのか。
誰が、何のために"そこ"にはめ込んだのか――。
さまざまな解釈や想像が広がる作品です。
作者様、素敵な作品をありがとうございました。
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