病室で最後の絵を描いていた唯奈が目覚めたのは、空も草も景色もすべてが灰色に沈む異世界。
唯一色を持つのは彼女自身と、手にしたガラスペン。
そして同じく灰色ではない青年ロア。色を持つことが異質で危険とされる世界で、唯奈は自分がなぜここに来たのか、ガラスペンが何なのかを探りながら歩き始める。
絵を描くことしか残されていなかった彼女が、灰色の世界で何を描けるのか――
その問いが物語の核となり、静かで幻想的な旅路を形づくる。
色のない世界で“色を持つ者”として生きる意味が、読み手の心にもそっと残る一篇。