古い家に増えていく椅子や食器、微妙に変わっていく間取りといった違和感が、派手ではないのにじわじわと不安を募らせる怪異譚です。しかし終盤でその意味が明かされると、怖さの正体は単なる怪異ではなく、主人公が忘れることでしか生きられなかった過去と、大切な存在への記憶だったと分かります。恐怖から切なさへと鮮やかに反転する、後味のよい物語でした。