十年前に滅びたヴァルセリア王国。
廃墟となった王都へ戻ったニーナは、かつて王国を支えていた四人のイケオジたち――カオル、アヤノコウジ、レイ、マツナガと再会し、王都の復興へと動き始めます。
水路を取り戻し、人が集まる場所を作り、子どもたちが学べる場所を整えていく。
何もなくなってしまった王都に、少しずつ生活と人々の声が戻っていく過程が丁寧に描かれています。
物語が進むにつれ、王国滅亡の裏に隠されていた過去が少しずつ明らかになっていきます。
序盤で散りばめられた違和感や謎が繋がっていくたび、「そういうことだったのか」と物語の見え方が変わっていくのも大きな魅力でした。
登場する四人のイケオジも、それぞれ役割も魅力もまったく違います。
武力で支える者、知識で支える者、暮らしを支える者、未来を担う子どもたちを育てる者。誰か一人が王国を救うのではなく、それぞれの得意なことを持ち寄りながら国を立て直していくところも、この作品の好きなところです。
そしてニーナ自身も、彼らに守られるだけではありません。
失われた過去と向き合い、人々と出会いながら、自分にできることを見つけ、少しずつ王都の未来を背負う存在になっていきます。
過去をなかったことにはできない。
失ったものすべてが戻ってくるわけでもない。
それでも、残された人たちはもう一度立ち上がり、新しい居場所を作っていける。
王都の復興と、十年前に止まってしまった人々の時間がともに動き出していく物語です。
頼れる大人たちが活躍するファンタジーが好きな方、そして5万文字以内で壮大なファンタジーを最後まで楽しみたい方に、ぜひおすすめしたい作品です。