第6話 女子2人と部活勧誘
「1年Cクラス汐崎君、職員室、満井の所に来てください。」
「うぇ?俺?」
昼休み、殆ど一緒に昼食を食べている3人グループの中で俺が声を上げると、左右に対になる様に座っていた男衆が満面の笑みで俺を見つめてくる。
「お前、都下部さんと仲良いからなぁー。やっぱり先生達も目ぇ付けてたかぁ。」
「いや、お前それの何処に呼ばれる理由があるんだよ。」
「それだけで呼ばれてもおかしくないだろ!」
「いや、おかしいよ?だいぶ。」
スマホを片手に、ゲームをしながらご飯を食べていた手を止め、俺に嫉妬紛いの言い掛かりをつけてきたのが草部翔太。
見た目と顔が良いため、多少女子にモテるのだが、お目当ての都下部には相手にされない可哀想な奴だ。
「まぁ、普通に大した事ねーのよ。こーゆー呼び出しって。赤点とか犯罪とか・・・はっ、大した事あるわ。最低だな、涼眞。」
「おい、いちいち不安にさせてくんな。殴るぞ。」
「お、お前・・・ついに暴力を・・・早く自主してこい、な?罪を認めれば、怖いことなんてないぞ。」
「いや、普通に怖い事しかないだろ。」
うどんの残り汁をグッと飲み干して、落ち着けと謎のジェスチャーをする中肉中背&ザ・何もかもが普通な男、重村智成。
この2人の煽りを適当に捌きながら、俺は食べ終わった焼肉定食の乗ったトレーを手に持ち席を立つ。
少し落ち着いた様子で反応をしたが、内心は「俺、何かしたっけ??」という何とも言えない感情に埋め尽くされていて、既に心臓の音が聞こえる位には緊張している。
そう、俺は紛れのない純粋な豆腐メンタルなのだ。
-------------------------------------
「はい、3人とも集まりましたね。」
「「「はい。」」」
目の前には、現文の教師。
そして両脇には天然脳筋女子と清楚ギャル・・・稀和さんと都下部が居た。
「それにしても、この部屋・・・何だか気味が悪いわね?」
「は、ははは。そうですねぇ。」
稀和さんがそう言うと現文の教師が苦笑いを浮かべる。
この人、マジの天然脳筋女子だわ。
「ごめんねぇ、空き教室ここしなかなかったから。」
「あぁ、いえいえ・・・全然大丈夫です。」
「そう??なら良かったわ。よし、じゃあ本題に入ります・・・。」
俺が職員室に来た時には既に2人は、この現文の先生と話しており、俺が来た事で準備が整ったと言わんばかりに先生からの誘導で、職員室からこの理科準備室へと連れて来られた。
都下部と稀和さんとも、ここに来るまでの道中少し話をしたが、2人共この話の中身は知らないらしい。
それにしても、俺だけではないという事と、友人と知り合い?が居る時の安心要素というモノは凄いモノだ。
まぁ、俺の豆腐メンタルでは、その安心要素があってやっと少し緊張度が低くなった程度なのだが。
「まず、貴方達。全員部活に入ってませんよね?」
「「「はい。」」」
「我が校では、部活に入るのを促進しているのを知っていますか?」
「「「はい。」」」
「じゃあ、話の内容は大体わかりますね??」
「え、いや分からないです。」
稀和さんが口を開くと、先生は「え?」という顔を浮かべ「え?」と口に出す。
完全にこの教師、思ってる事が表情に出るタイプだ。
「えーっと・・・貴方達だけです。1年で部活はいってないの。」
「え?それマ?」
「んん?マ?摩訶不思議的な?」
「え?」
「え?」
カオスだ、カオスすぎる。
属性が似ているのもあるが、ジェネレーションギャップにより、全然会話が進まない。
この現文の先生は学校の中では1番若いって言われていた様な気がするのだが、やはり7・8年の差はデカいのか。
「えーっと・・・まぁ、君たちが部活に入ってないので、単刀直入に言うと私が作った部活に入って下さいねー。という事です。」
「あー、やっぱり部活に入らないとダメなんですかね?」
「そうですね。我が校の昔ながらの風習というか決まりの事なので、それに今回、君たちはラッキーなんですよ?」
「えぇ、それマです?」
「はい、それマ?です。」
もうその単語が何か分からないが適当に合わせておこう感が半端ないぞ、この教師。
生徒人気が他の教師よりも高いというのは知っていたが、全体的に容姿も話し方も品があるという反面、この天然っぽい所に惹かれる生徒が多いのかも知れない。
「今年は、部活動の活発化により去年よりも同好会やら新しい部活が増えてしまい、生徒会だけでは運営が難しいという事で、数々の部活の助っ人、そして相談役をする部活を私が作らせて頂きました。名付けて『奉活部』。フフッ、何だかカッコいいでしょ?」
「えーっと、その部活に俺たちが入れという事ですか?」
「そーうです!」
「あー、えっと・・・すみません。俺はお断りします。」
「私も〜。」
「じゃあ私も。」
「え?!」
俺たち3人から返ってきた言葉に先生は驚き目を見開く。
普通に考えて、この面倒くさそうな部活に入るヤツなんて相当なドM位しかいないだろう。
もしかしたら、自主的に入ろうとするジャスティスマンはいるかも知れないが・・・俺はそんなに良いヤツではない。
普通に、他の文芸部的なのに入って幽霊部員にでもなっておいた方が幾分かマシである。
「それは何故?!」
「いやーー、まぁ・・・はい。ちょっと疲れそうだなぁって。」
「えぇ?!気持ちが良いですよ?良い事をするというのは・・・。」
え、何この人。
こんなに『正義』の人だったの?
「ウチそんな柄じゃないんで・・・その、すみません。」
「・・・しょうがない。ではこうしましょう。活動日は月曜日、水曜日、金曜日、時々土曜日の計3日とたまに1日。でどうです?」
「いやぁ、ちょっと。」
「分かりました、活動日には必ずお菓子と飲み物を先生が買ってあげます。」
「えー?!それはスタ○のコーヒーも可?!」
「可です。」
「やっばー、チョー良いじゃん!入る!入ります〜!」
と、ここまで恩恵のある部活だという事は、当然とてつもなく疲れる仕事だという事であって、俺は都下部の様に餌に釣られるチョロいヤツではない。
「あー、私は大丈夫です。勉強もあるので。」
「
「え?まぁ、はい。」
え、何でこの人そんなの知ってるの、怖い。
てか、稀和さんの苗字、美沢って言うのか。
「進学に有利になりますよー。一応ボランティアになるので。」
「え?」
「それに教師達からの印象も良い、ときました!さ、どうです?」
もう、壺買わせる手法だよね、これ??
大人に対する感嘆よりも恐怖が勝っちゃうよ??
「しょうがない、私の力が必要なんですね・・・。入部しましょう。」
「よし、決定ですね!」
マズイ、清楚ギャルと天然脳筋の2人がやられてしまった・・・。
残るは俺だが、さぁ何を提示してくる?
「汐崎君は・・・どうします?」
「えー、俺はちょっとぉー。」
「そうですか・・・残念です。」
「え?」
「え?」
何もないのかよ!!
女子2人と俺で、何でこうも扱いが違うんだ・・・ちょっと惹かれてたのに。
「あー、汐崎君はそうですね!先生が居ますよッ!」
「んん??」
「なんちゃって?フフッ、まぁまぁそんな顔をせずに、皆んなで楽しく頑張りましょうよ!」
なんか、この先生ムカつくな??
だが、意外と条件も良い。
迷いどころではあるが、迷ったらとりあえず「はい。」といっておけば、大抵のことは上手くいく・・・と先人達が言っていた、様な気がする。
「わっ!本当ですか?!それじゃ、これから4人で頑張っていきましょう!!」
「「「はい。」」」
「おーっと、元気がないなぁー??返事はおーですよッ!!」
ん?やっぱりミスったか??
てか、この先生キャラ変わってない??
「おーー。」
「「・・・。」
「良いですよー!汐崎君!!」
とりあえず、腕を上げておいたが女子達からの冷たい目線を俺はこれから一生忘れないだろう・・・いや、忘れられないだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます