第2話 嫌な予感
数十歩ほど歩くと、周囲の景色は一変した。
私が歩いていく方向には、まるで中世ヨーロッパとほんの少し現代が混ざっているかのような道が一本、あった。道の先には街が見える。ここからは少し見えづらかったが、よくある異世界物や異世界転生物の世界のような洋服を着ている人の姿が多く、見えた。
「異世界?」
「何、どうかした?」
「え?!」
道を歩もうと一歩を踏み出したところで、頭上から声が聞こえてきた。踏み出した足をすぐさま、引っ込めて頭上を見る。真上から声が聞こえるなんて有り得ない。
頭上を見上げれば、建物の屋上らしきところに人がいた。影で顔はよく見えないが、男の人だと声とその姿で判断する。
言葉は分かる。日本語だ。
「・・・・・・この言葉分かるん?」
「え、あ、ええ、まあ」
『―─―─―─―─―─―─』
「はい?」
唐突に聞き覚えのない言葉が発される。理解ができなかった。英語でもない中国語でもない。それ以外の私が知っている言語のどれでもないものが、その人の口から発された。
「こっちは分からんのやね。おかしなこともあるもんやな。この国の言葉は『―─―─』語なんやけど。まさか、日本語が喋れる子と会うとはなあ」
嫌な予感がした。
聞き覚えのない言語。日本語が喋れるのがおかしいというような認識。普通に来ちゃダメな国とか地域に誘拐されてきた可能性出てきた。
これ、逃げよう。
「失礼しますっ!」
決断したからには早く行動する。ほんの一瞬の遅れが取り返しのつかないことを巻き起こすこともある。それは身を以て知っている。
「え、どしたん?!」
一本道を走り抜ける。男性が建物の屋上から下りてきて、追ってきている足音が聞こえる。速い速い速い!!
『―─―─―─!』
何かを叫んでいる声が後ろから聞こえた。私に向かってなのか、それともそれ以外の誰に向かってなのかは分からない。多分、私に「止まれ」とか言っていると思う。だが、私は止まらない。っていうか、止まれない。
「止まれと言われて止まる奴があるか!」
走りながら言う。伝わるかどうかは分からないが多分、伝わっているはず。
そう思いながら走り続けた。
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