「XYZ」
この三文字に反応したあなた。
――ちょっと待って。
そのまま通り過ぎないでください!!!
『シティハンター』を愛した人なら、一度は憧れたであろう、新宿駅の伝言板。
そこへ「XYZ」と書いてみたい。
きっと、そう思った人は大勢いたはずです。
でも――
本当に行った人が、ここにいる!!!
伝言板が撤去される。
その知らせを聞いて、居ても立ってもいられず新宿へ向かった、若き日のもぐぴよ様。
もう、この行動力だけで私は大好きです(笑)。
だって「好き」って、本来こういうものなのかもしれない。
ただ、好きだから。
憧れていたから。
今やらなければ、きっと後悔すると思ったから。
だから、自分の足でそこへ行って、自分の手でチョークを握る。
たったそれだけの出来事なのに、読んでいるこちらまで胸が高鳴ってくるのです。
そして何より素敵なのは、この作品に漂う「本気で好きだったものを、本気で好きだった自分」への愛おしさ。
『シティハンター』を知っている方には、たまらない一篇。
知らない方にもきっとあります。
大好きな作品。
憧れた場所。
真似してみた台詞。
「一度でいいから、やってみたい」と思ったこと。
そんな記憶をひとつでも持っているあなたへ。
たった三文字が青春へ連れ戻してくれる、短くて、可愛くて、最高に熱い思い出の一篇です。
さあ――
「XYZ」。
この伝言を、あなたも受け取ってみませんか?
『シティーハンター』の伝言板に「XYZ」を書きに行く、というファン心理の純粋さがそのまま699文字に詰まっている。「伝言板撤去」という時代の流れを告げるニュースが、若き日の自分を新宿駅へ駆けつけさせた、という動機の素直さが微笑ましい。
人の目を気にしながらチョークを取る、という一瞬の躊躇いの描写が、ミーハーであることの恥じらいと喜びを同時に伝えている。実話風の語りならではの温度感が、単なる懐古ではなく「あの時代にしかできなかったこと」への愛着として伝わってくる。
短い掌編だからこそ、読後にふっと自分の若い頃の似た瞬間を思い出させる力がある。