第1話だけで、その問いが胸に突き刺さってくる。
遺伝子操作のうっかり間違いというシンプルなミスが、「馬の受精卵から人間の遺伝子を持つ受精卵」を生み出してしまった。この設定のインパクトがすごい。主人公・瀬川蓮がデザインベビーの時代に「操作されていない」自分という設定を持つことが彼の心理に微妙な負荷を与えているという描写も巧みで、キャラクターと世界観が同時に立ち上がっている。
「遺伝子操作法第17条。ヒトの遺伝子構造を持つ受精卵は、法的にヒトの生命として保護される。廃棄は殺人罪に相当する可能性がある」——この条文が主人公の脳に射し込むまでの運びが丁寧だ。作業台と保管庫を行き来しながら、小学校の運動会の記憶が挿入される構成も効果的で、一話の密度として申し分ない。
「これは、人間なのか」という結びの一文がすべてを言い尽くしている。哲学・倫理・リーガルサスペンスの三要素が第1話だけで完全に揃っている作品だ。