このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(305文字)
視点ごとに異なる感情や価値観が巧みに描かれ、過去の出来事が現在の関係性へ落とす影と、複雑に絡み合う青春ドラマが読み応えたっぷりで続きを追いたくなる作品です。
冒頭のショッキングな「やけど事故のニュース」という大きな謎を提示しつつ、5人の主要人物それぞれの視点から「去年の夏に起きた何か」の影を立体的に描き出す、非常に構成が巧みな導入です。単なる爽やかな青春ものではなく、家庭環境の崩壊、元恋人関係のねじれ、傍観したことへの罪悪感など、登場人物たちの「心の痛み」の解像度が異様に高く、一気に物語の世界観に引き込まれました。