公害という社会問題を真正面から捉えた、重厚な作品。現実の公害事件を連想させる舞台設定と登場人物。そして、「科学的検証」の名の下に平然と行われる、恣意的な真実の選別。情報が権力によってどう扱われるのか。その問いは、作中の時代にとどまらず、現代にも通じる鋭さを持っています。『濁流』に飲み込まれるのは、国家か、個人か。強い問題意識と物語性を兼ね備えた、野心作です。