第6話

 早速薬を5つ作り終わった俺は薬を収納袋の中に仕舞って教会に向かうことにした。


 「それじゃあレイナさん。教会に行ってきますね。」


 「ジョブのレベルアップですね。頑張ってください、ノザキさん。」


 俺はレイナさんに見送られながら教会に向かって寄り道せずに早足で向かった。


 そうして教会に到着する。


 「本日2回目ですね。」


 「試練を達成するのに必要な物の用意が終わりましたから。」


 「それは良かった。神々の試練を乗り越えられるというのは良いことです。」


 シスターと別れた俺は薬神の石像の前まで移動すると、薬神の石像の前にある台座の上に5つの薬を置いてから祈る。


 『5つの薬……品質は良し。良いだろう。試練の達成を認める。これで汝のジョブ薬師のレベルは上がった。次の試練を受けるには10000本分の薬を作ることだ。』


 「分かりました。ありがとうございました。」


 祈りをやめて目を開けると、薬神の石像の前の台座に置いたはずの薬5つは何処かに消えていた。


 「薬神様が持って行ったのかな?」


 何処に薬が消えたのかと思いながらも薬師のジョブがレベルアップしたことを喜びで顔がニヤリとしそうになるのを抑えながらステータスを確認してみた。


名前 ノザキ・ハル

レベル4

ジョブ 

薬師レベル2

薬師知識:ランク3 素材を見抜く目:ランク5


 ジョブレベル以外にも普通に俺自身のレベルも上がっていたみたいだ。


 下級回復ポーション以外の薬を作ったからこそ、新しい薬を作った時の経験値が多かったのかもしれない。


 なるべく同じ薬を作るよりも違う薬を作ったりした方がレベルアップにはいいのだろうか?


 なんでこうも早くレベルアップしたのかはいいとして、ジョブのレベルアップで手に入ったスキルの確認をしよう。


 素材を見抜く目。


 それが俺の新しいスキルだ。それもランクが最高のランク5である。ここが教会じゃなければ大声を上げて喜んでいたところだ。


 素材を見抜く目はその名の通り素材がどんな薬に使えるのか、素材の薬効の成分や変化に素材の状態を正確に見抜ける目を得られるそうだ。


 収納袋に仕舞っている薬の素材を見てみることにした。


 「あ、ほんとに見えるんだ。」


 手に取った薬草系素材にはどんな薬に使用可能なのか、素材の状態や薬効はどんな成分で量がどれくらいなのかが見て取れた。


 「これ、薬を作るのにかなり便利じゃないか?」


 素材の状態を見抜いて良い素材を選び出して、素材の下処理や薬効の抽出にだって役に立ってくれるスキルだ。


 それに色々と知識をまとめれば自分で新しい薬だって作れるかもしれない。


 教会を後にする前にシスターに試練をクリアしたことを伝えてからにした。


 「シスター、試練を達成したよ。」


 「そうですか。それは良かった。これからの試練は段々と難しくなってくるでしょうが、それでもめげずに頑張ってくださいね。」


 「はい。」


 俺は教会を後にした。


 次に向かうのは薬師ギルドだ。試練の達成をレイナさんに報告しないといけない。


 でもその前に昼食に屋台の串焼きや具材を挟んだパンに果実水で昼食を食べてから薬師ギルドに向かった。


 「遅かったですね。試練はどうでしたか?ノザキさん。」


 「無事に達成したよ、レイナさん。しかも結構良いスキルだった。」


 「ほう、それは良いですね。これからも薬作り頼みますよ。」


 「期待していてください。それで調合室を借ります。」


 俺は調合室を午後の時間で使う分のお金を支払ってから薬の素材を選び始める。


 新しいスキルである素材を見抜く目を使って素材の良し悪しだけでなく、この素材ならどんな薬に使えそうなのかを確かめながら素材を選んでいく。


 購入した素材を持って調合室の中に入った俺はすぐに調合を始められる用意を始めた。


 まずは下級回復ポーションからだ。


 薬研を使って薬草をすり潰していく。


 1回すり潰していく毎に薬研の中の薬草の薬効成分がどうなっているのかが見て取れる。


 「この段階からここまで出来るんだ。すごいぞ、これは!」


 鍋で薬効成分を抽出する時に素材を見抜く目はどんな風に見えて来るんだろうと気になって仕方がない。


 早くどうなるのか見てみたい。そう焦ってしまう気持ちを抑えながら丁寧に薬草をすり潰していく。


 すり潰し終えた薬草を鍋に投入して薬効成分を抽出し始める。


 「おお!!水に溶け込んでるのが分かるぞ!!」


 鍋の中ではお湯の中に薬草の薬効成分が溶け出していくのが目で分かることに興奮してしまう。


 じんわりじんわりとお湯に薬効成分が染み込んでいくのを眺めながら鍋の中を掻き混ぜる。


 薬効成分が減らない様に鍋の温度を気にしながらもようやく薬草から薬効成分が溶け出さなくなったのが確認できた。


 あと少しで下級回復ポーションが作り終わるが、それでも油断せずにどう薬効が変化するのかを眺めながら過ごす。


 そして下級回復ポーションが完成した。これまでの中でも1番良い出来の物だろう。


 下級回復ポーションが完成すると、それからも下級回復ポーションを同時に5つ分作ってから他の薬も作り始めた。


 薬効成分が抽出されていく過程や薬効成分が変化していく過程を見ながらだと薬作りのタイミングが良く分かる。


 そのお陰で薬効成分が高い薬が次々と作り上がっていく。


 どの薬も午前中に作った薬よりも薬効成分が高い品質の良い物になったと思う。


 薬効成分が高過ぎて薬としては使えない物になっているなんてことが無ければだけど。


 とにかく購入した薬草系素材の分の薬を作り終えた。作った薬を持ってレイナさんに薬の鑑定を頼もう。


 その時に薬の品質に差がどれくらいあるのかを聞きたいところだ。


 薬師ギルドの受付まで移動した。レイナさんはまだ受付に居るのが見えた。


 「レイナさん。薬の納品をお願いしてもいいですか?」


 「納品ね。じゃあ薬を見せてくれる?」


 「はい。」


 薬の入った木箱を受付カウンターの上に置いた。


 レイナさんが1本ずつ薬を確認するのを待ってしばらく経ち。


 「どれもこれまでノザキさんが作成した薬品の中でも品質が高いです。良いスキルが手に入ったんですね。」


 「はい。薬を作るのに役立つスキルでした。」


 薬を納品した結果、品質がかなり良くなった様でいつもよりも下級回復ポーションの納品値段が高かったようだ。


 それけら少しレイナさんと話をしてから薬師ギルドを出て宿屋の赤犬亭に帰るのだった。

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異世界生活始めました。 甲羅に籠る亀 @GOROHIRO

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