異世界ファンタジーの世界にも花屋さんはあるかもしれませんが(というかあるでしょうねえ、葬儀用や装飾用、ニーズはいくらでもある)、本作はもう少し捻った設定にしていて、花屋の職業ギルドが設立したアカデミーを卒業した有資格者が主人公たち「花師」のようです。単純に花屋としての職能育成だけでなく、今時の言葉で言えば社会的処方的な顧客の心に寄り添う技能も、花師たちが少なくとも暗黙知として共有していると見るのは穿ちすぎでしょうか。いずれにしても魔物が跋扈する殺伐とした世界において花屋と花師を話の中心に据えたことそのものが、この物語を無二のものとしています。もっと花に想いを仮託した花師ならではの様々な人との関わり方を見たかったですが、それは贅沢というものでしょう。良作です。