第27話:暴力で平和にしてしまうと

キャベツはイテミスに石を投げたせいで殺された10名のロックオークの墓を立てていた

重たい岩を転がして同じ幅の感覚に長方形に似た形の岩を並べていた


「…風見族同士の会話で聞いたことがあるが“すまなかった”とはこういう時に使うのか?」


「石を投げるように命令して “すまなかった”…俺はお前たちに許されないだろう…」


キャベツはそういって風見族を呼び出した


「魔の山に今から行くが、何人かついて来てほしい…危険だと思うなら来なくていい。」


バロットはキャベツに質問をする


「ボク達にできることってなんですかー?」と尋ねると


「魔族に最後のチャンスをやるからそれにお前たちにその手伝いをしてほしい。詳しくは現地の近くで説明する。怖いならいい…」


そういってキャベツは魔の山の方向へ“浮遊能力“で飛び立った


バロットを含む8人ほどの風見族がキャベツの後を追うのだった

魔の山はどの種族にも近づかない危険な魔族の要塞だがキャベツが前なら恐れる者はいなかった


鷲の特徴をもつ鳥型亜人の風見族の『ラルエグ』という男が悪態をつく


「チッ、ムカつく野郎だぜ…俺達、風見族の族長を殺したくせにロックオークには墓を立てるなんて…意味が分からん…」


「支離滅裂でムカつくが何をするかは見とかないとな…?」


バロットはラルエグに


「聞こえたら怖いから気をつけなよー?」と釘を刺すが


「俺はあんな奴怖くねぇよ!あんな化け者に風見族を顎で使われるのもいつまでだろうな?」


と苛立ちながら追跡し魔の山に向かうまで愚痴を繰り返すのだった



****魔の山の最後のチャンス


魔族の拠点である魔の山の宮殿では異変が起きていた


「撮影中継していた観眼魔虫が“望郷風化”の風でどこかへ飛ばされて途切れた。これじゃ魔映で世界中に放映できないな…最後はどうなったんだ?」


すると魔人の一人が


「俺は山羊男に賭けてたんだがな…馬の大穴狙いってあるだろう?イテミス様も山羊男に賭けても咎めないって言ってたし」


「でもこれじゃわからずじまいだな…イテミス様が帰ってきたらすぐ今日は記念日だとか自慢するだろうけど」


そう話していると


「ゴォオン」


と爆発音が外から聞こえた


魔人たちが武器をとり外へ出るとキャベツが宮殿の庭の上空に浮いており…


「お前たちが魔族だな?生存のチャンスをやる…この山に他部族の人質や捕虜がいるなら全員連れてこい…断れば即、全員処刑とする…」


「なんだと?イテミス様はどうした?」


と魔人が聞くと


「あいつの話はしたくないがこの世から消えた…いや消した」


「お前たちはどうする?俺と戦うか?戦うならチャンスは無しだが…」


驚愕したが魔人たちは馬鹿ではなくキャベツの様子を見るために魔族以外の捕虜を庭に連れて来た


それは奴隷や生活の雑務などを行うための亜人や人間がいて100人ほどいた


「イテミス様が負けったって嘘だろ?捕虜や奴隷は連れてきたがこれでいいのか?チャンスとはどういう意味だ?」


魔人の一人がキャベツに聞くと


「これで全部か?バロット…捕らわれた者たちにアンケート用紙を渡せ…そして書いたら下山させて近くの人里まで連れていけ…後は自分たちで帰らせろ…」


「わかりましたー。ホーホー魔人のみなさーん?今日は威張らないのー?強いのが自慢のくせに弱く見えるねー」


そう言うとバロットはアンケート用紙と鉛筆を渡して捕虜たちに書かせて下山していったのだった


「皆さんこっちですよー。よかったですねー。こののお方が新魔王(笑)を殺して皆さんを助けてくださいましたよー?英雄のシュウノさん達は前の魔王を倒した後はずっと遊んで、人間どもは何もしてくれませんでしたけどねー?」


半魚人の一人が列の最後尾にいて山羊男を怖がりながら見つめて下山していった


「彼らが下山するまで魔人が逃げないか空から見張れ…一人でも逃げたら全滅させる…」


そうラルエグ達に命令した


キャベツはアンケート用紙を4時間くらい眺めていた


魔人が苛立ち


「何のアンケートだ?それは?」


と聞くと


「お前たちが滅ぶべきかどうかのアンケートだ…俺だけで決めても良かったが他部族の被害者の言い分も聞こうと思ってな…俺は消す気だったが助けたいと思うのが多数派なら見逃そうと思う…」


「その内容は、お前たちを“残したい“と”消したい“の選択と”奴隷の扱い“についてだ」


「奴隷たちは掃除や洗濯や料理や魔法の練習台にされる暴力や気分次第でベルトでむち打ちにされたり唾を吐かれたり、兄が逃げて手足を釘で木に打たれて日光にさらされ死んだともあるな…色々ありすぎて全部は言いたくない…」


「アンケート結果は多数が“滅べ”と書いてあったのでこれより開始する。遺言は聞かない…」


キャベツは銃撃能力と砲撃能力でその場の魔人を殲滅した


「ヒュン・ヒュン・ヒュン」という音が鳴ると


「バショッ」と肉が吹き飛ぶ音がなる


風を切る音と共に次々に肉の塊に引き裂いていく


美しい女性の魔人の戦士が斧で切りかかるがキャベツは“空気膨張能力”を目の前に発生させそこに飛び込んでしまいパァンと破裂した


「この前の長話の男は素早いから使用は無意味だと思ったがお前らにはあたるな…強さに開きがあるらしい…」


「うぁあ…助け…」


「ゴチャッ」


逃げ惑う最後の一人の腹に砲撃があたり大穴があいて倒れた


「さて、山に住んでる魔人も残らずだな…」


「やはり極端に強いのは長話の男だけだったようだな。たくさんいなくてよかった…」


キャベツは浮遊で山の上に飛びイテミスとの戦いで可能になった“爆撃能力”を行使する


自分の周りに大量の歪んだ空間をしずくの形にして連続で雨の様に投下した


それは絶え間なく続き空爆の雨あられの状況だった…絨毯爆撃(じゅうたんばくげき)である


「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオン」


魔人の親子が屋敷から逃げているがそれもキャベツは狙って空爆する


山を旋回するように空爆を3時間ほど繰り返し山はビスケットをかじられたように崩壊するのだった…


ラルエグは絶句しながらも


「おい?親子もいたよな?母親と子供みたいだったが…あれはいいのか?」


するとキャベツが「助けたければお前が助けろ…」と言い


「あいつらが成長して魔王になるなら消した方がお前たちにもいいだろう?ちょうどスズメバチの駆除といったところか…」


「それに魔王がでれば毎回、無関係な他部族の親子が巻き込まれて子供も意図せず戦争に巻き込まれて死ぬ。そうなる前に原因を消した方が良い。」


「魔族は過去に何度も魔王を出して負けても同じことを繰り返すので生かす価値がないと判断した。」


「さっさと人間の勇者や英雄共が昔、勝った時に根絶していれば余計な犠牲が出ずに済んだのだ…奴らは余興好きの能無しだ…ひょっとして魔王の元を残して、たまに倒したいから残したのか?」


「それに魔王は山羊を絶滅させると言ったから魔人が山羊に絶滅させられても文句は言えないはずだが?」


ラルエグは山羊男がこれまでの知性をもつ存在とは決定的に違うことを痛感したのだった…


「もし、魔人や龍を見つけたら教えてくれ…俺がそいつらを全て消す…」


「お前の名前はキャベツだったよな?なんでそんなに惨いんだ?可哀そうとか思わないのか?」


「どういう意味だ?可哀そうとはなんだ?この状況で思うことなのか?」


ラルエグは「戦いで長く生きてない子供を巻き込むのはタブーだ」と教えるが


「俺は確か、5年しか生きてない…つまりあの子供は俺と差があまりない…年の差で攻撃するのが良くないなら今回はそうじゃないはずだ…」


ラルエグは山羊男に恐怖と焦りを感じるが何も言い返せないのだった


「この化け物はいかれてる…狂気の理屈野郎だ…」

「ロックオークの10体は墓を立てたのに親子を…こいつの中にルールがあってそれを破れば皆殺しにしてもこいつは平気って意味だろうな…末恐ろしい奴だ…」


魔の山は完全に山の形ではなくなり砂場の城が崩れたような形になったのだった

それはまるでおにぎりがかじられて土台だけ辛うじて残った形である

住んでいた魔人達は絶滅し世界は魔族からの脅威から救われたのだった…

この一件によりキャベツは“暴虐の山羊男”と呼ばれるようになる

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