中世フランスを思わせるクラシカルな世界観と、重厚な雰囲気が漂う大人向けの一作です。
高い魔力を持つヒロイン・ペトロニーユと、年上のイケオジ・ラウル、そしてその息子マチュー。王命による婚姻から始まるドラマに「親子による甘美でドロドロとした葛藤」を期待すると、予想外の展開に驚かされるかもしれません。葛藤に長々と尺を使うのではなく、物語は非常にテンポよく、潔いほどスムーズに進んでいきます。
登場人物たちが余計な罪悪感や葛藤に悩まされず、運命を受け入れていく割り切りの早さは、どこか現代的で独特のドライさがあります。「息子の婚約者」「婚約者の父」という背徳的な関係性でありながら、驚くほど滞りなく結ばれていく二人の姿は、ドロドロとした愛憎劇というよりも「大人の合理性と割り切り」を楽しみたい方にぴったり。
複雑な感情の機微を楽しむというよりは、理屈抜きでメインカップルの結末や「イケオジとの恋」という美味しいシチュエーションをストレートに堪能できる、割り切った味わい深さのある作品です。
ヒロインのペトロニーユが、健気ですごく可愛いです。
誠実で心優しくて、恥ずかしがり屋。
読んでいると、可愛くてついにやけてしまいます。
ペトロニーユは、最強の魔法使いでもあります。
普段は引っ込み思案なのに、戦えば一人で戦局を支配できるほど強く、冷静にことを進めていきます。
平常時との落差が大きくて、そのギャップも魅力的でした。
ペトロニーユが好きになる年上のおじ様、ラウル伯。
ラウル伯は、いい歳なのに不器用ですごく誠実です。
もう少しペトロニーユをリードしてあげて、と応援したくなりました。
物語の世界観は、中世のヨーロッパに色々な魔法が自然に溶け込んでいます。
作者様らしい、その時代に入り込んだような雰囲気に魔法が加わって、とても不思議で魅力的でした。
そんな舞台で、二人の切なくも甘く優しい恋物語が紡がれます。
私は更新を楽しみに少しずつ読みましたが、話のテンポもよく、これから読む方はきっとあっという間に読み進めてしまうと思います。