とある離島は昔、女の子を買い一夜の快楽を得ようとする男性で賑わっていた。
今では知っている人などごく少数だろう。
島にはきっと主人公のミズエのような女の子がいて、五郎のようなポン引きもいただろうと容易に想像できる。
アスカ姉さんのくだりも、本当にあったんだろうなと思わせられる。
『ええ人』という言葉が何度も出てくる彼らのストーリーには、数えきれないくらいの社会のねじれや拭い去ることのできない薄闇が背景にある。
金と引き換えにその上澄みの部分のみを享受する客にとっては非日常でも、彼らにとってはそれが日常なのだ。
私は、彼らのような人にも日々のゆるやかな生活があったということを、忘れたくない。
作者の秋犬さんは、しっかり島のことを調べたうえで書かれたそうだ。
その努力に多大なる敬意を払いたい。