※本レビューは、公開されている全9話までを読んでの感想です。
「可愛い」という価値観そのものを、文字通り武器として振りかざすヒロイン・荒川アイ。SSR/SR/R/Cというガチャのレアリティ表記で人間の”社会適合度”を格付けするディストピア設定を、深刻ぶらずにコメディのテンポで駆け抜けていく痛快さが持ち味の作品です。
この作品で一番光っているのは、実は「ギャルもの」という体裁そのものよりも、言葉遊びの精度だと感じました。「オシャレ撲刀」「風機員」といったタイトルレベルの言葉遊びから、「SSR」「女装」という既存の言葉を”可愛いかどうか”だけで強引に再定義してしまう会話の運び方まで、一貫して言葉の意味そのものを塗り替えていく遊びが、この作品の一番の芯にあるように思います。ギャルという舞台は、その芸を一番派手に見せるための装置として選ばれているのではないでしょうか。
主人公アイの巻き込み方も見事です。取り締まる側だった平ヒトシが、名前ごと「ヘボンちゃん」「ナカミっち」に上書きされていく様子は、コメディでありながらアイデンティティの喪失というテーマにも触れていて、ただの狂言回しに終わらない存在感があります。5話で垣間見えたミルティーの重すぎる感情も、今後アイという不動の軸に振り回される良い横糸になりそうです。
一点、気になった点を挙げるなら、7〜8話で積み上げたテロ組織や人質事件という重めのプロットが、9話であっさりコメディのオチに回収されてしまったことです。緊迫した場面をあえて引きのまま次話に持ち越すという選択肢もあったはずで、テンポの良さを優先するあまり、少しもったいない着地になってしまった印象があります。
とはいえ、この作品はまだ序盤も序盤。アイの”可愛いは理屈を超える”という信念を、このまま最後まで押し通すのか、それとも裏にある理由が明かされるのか——どちらの選択も面白くなり得るだけに、37話予定という長期戦、今後の展開が非常に楽しみです。毎日更新という高いハードルを維持しながら、ここまでテンポも言葉遊びの切れ味も落とさずに来ているのは、素直にすごいことだと思います。この先が本当に楽しみです!!