「このまま私の中で一緒に墓へ入るのも勿体ないような気がした」という一文が、このテキスト全体の性格を言い表している。設定資料集として読むというより、誰かが長い時間をかけて育てた世界の断面図として読む。矛盾も改名前の名前もそのままにした、という判断が誠実で、かえってその世界に対する愛着が伝わってくる。完成した小説にはない種類の読み物として、ここにあり続ける価値がある。