『未完成な放課後』というお題に対する掌編です。お題自体がユニークで、私は何が未完成であったのか、何が欠けていたのかを考えながら読んだのですが、この作品が提示する回答は大変私好みでございました。こういうの大好き。
普通(少なくとも私なら)、これだけのことがあったのなら、過去を清算したくなると思うんですよ。区切りをつけて再スタートって感じで。この話もある意味ではそうなのですが、でもそうじゃない。未完成な放課後を満たすものは、忘れることでも区切ることでもなくて——。そこに主人公の人間力がつまっていて、非常に心惹かれました。
主人公の周りも魅力的です。綺麗なままのスパイクも、「田舎じゃ体操着すら取っておく〜」のセリフも優し過ぎます。もうなんなの!?て言いたくなります。言いました。そういう小さな描写の積み重ねで、登場人物達の生き様がきちんと浮かび上がってくるところもすごいです。素敵な読書体験でした。ありがとうございました。