何の変哲もない普通の高校生が、長い時を生きるヴァンパイアの美少女と運命的な出会いを果たし、過酷なバトルへと身を投じていく熱いファンタジー作品です。
シビアでハードボイルドな展開でありながらも、根底にしっかりとボーイミーツガールの要素が敷かれているため、決して話が重くなり過ぎない絶妙なバランスが秀逸!
骨太なストーリー展開はもちろんのこと、主人公の叡司くんとヴァンパイアの美桜、二人の関係性の変化にも注目しながら読み進めることができます。
美桜と叡司の間にどのような因縁があり、それが物語にどう影響してくるのか。熱いバトルと二人の絆の行方から目が離せない、今後の展開が楽しみなおすすめの一作です!
吸血鬼ノお嬢様が隣に引っ越してきた。
こんな甘い導入が大好物な光のオタクは多い。
しかし、本作を甘いボーイ・ミーツ・ヴァンパイアとして漫然と読んでいると、いきなり臓器を潰され全力で振り落としにかかってくる。
これはもう、一部のオタクに音速で突き刺さる棘。あるいは丸太のような杭である。
主人公は不死身っぽい力を得ても、痛いものは痛い。指を折られれば叫ぶし、戦い方を知らなければ死ぬ。怪物の力を得たから勝てるのではなく、怪物の世界で死なないための訓練が始まる。
訓練とは、能力を得ることではなく、得た能力の限界を知り、痛みに慣れ、敵の狙う急所を覚え、逃げるべき時に逃げられるようになること。
「ただ勝つだけでなく生き残らねばならない」
セバスチャンはこれを教える執事という名の教官である。
しかも敵側もちゃんと戦術を持ってくる。
そして、ヒロイン美桜。
軍事オタク豚的に、大事件である。
少女の姿で椅子に座り、敵を待つ。
虚勢なのか、愚かさなのか、それとも絶対強者の宣告なのか。
理解した瞬間に性癖に突き刺さった。
大人のお仕置きである。豚は敵と一緒に鼻息が限界突破した。
誰もが憧れる妖艶な美女。しかも少数精鋭による防衛戦の快感までついてくる。
戦力差を覆すのではない。
相手に「数で勝っている」と思わせたまま、キルゾーンへ入らせてのお仕置きである。
しかも武器がえぐい。ステンレスワイヤーの鞭である。ブタれることを想像するだけで痛い。
怪物退治に銀の剣や槍を持ち出すのではなく、怪力と物理と工作で敵を切断する。実用と実戦が変なところで武器としてお互いを高め合う。
だが本作は、武器に単純に酔わない。
怪物少女の夜会という華やかな看板である。
これがいい。
怪物に憧れる物語ではなく、怪物の隣で人間がどう変わってしまうかの物語でもある。
日常が蹂躙される。
連載に期待である。