戦後、占領下の東京。
ラジオの人生相談番組に多くの投書が寄せられる。
主人公、牧野は、無数のハガキの中から回答を用意する生活を送っていた。
いわば、脚本、シナリオライターという職業になるのだろう。
その投書の中から、ある一つの声に答える言葉が見つけられない。
牧野はハガキを書いた相手を訪ねる。
どう言葉をかけるつもりなのか、自分でもわからないまま。
裡にあるものを説明出来ないのは、牧野だけではない。
誰もが整然と言葉にならないものを抱えている。
亡失された言葉は、どこにあるのか。
手繰り寄せようとすれば、胸がキリキリと痛む気がしてくるのです。
それでも、物語の中で、
人はその日を生きている。
その重みに、私はしばらく言葉を出せませんでした