王道のファンタジーです。
作品の完成度もしかり、その上で完全な好みから選ばせていただいております。
タイトルの掴みから、精霊が見える少年、魔法の訓練、ライバルとの切ないやりとり、こころあたたまる人間関係……私の好みに、どんぴしゃでした。
本人すら知らない主人公の才能を見出される、という展開は王道ですが、それを自分の作風に落とし込むことは、意外とむずかしいです。
どこか既視感を覚えてしまうと、ストーリーがつまらないものになってしまう。
そこをこちらの作品は、あたたかみのある人間関係と、魔法に対する丁寧な描写で魅せてくれました。
魔法へのワクワク感も読んでいてとても楽しかったですし、水汲みの魔法の課題を解決するアイデアについても、とても納得感と読み応えがありました。
特に印象的だったのが、イデアとフィエールの対比関係です。
この二人は、同じ魔法使いを師にもつ兄弟弟子という関係であるものの、精霊に対する考え方の違いと、魔法の扱い方の違いから、ライバルのような関係にも読めます。
ただ、この作品の時間軸の中において、二人の間にあるのは、共に魔法を学ぶという同志としての関係性です。この二人が今後どうなっていくのだろうか、と少し切ないような、読んでいてとても胸に迫るものがありました。
派手な物語ではないけれども、読み終わったあとにも、心に残るものがあり、振り返ってまた読みたくなる。そんな素敵な物語でした。