『私』こと主人公は、己の未練を燃やしに向かった。軽い受付を済ませた後、順番がくるまで書類に必要事項を記入する。
「何を燃やしますか?」
書類に書かれたその問いに、主人公は即座にペンを走らせ、とあることを書いた。そして、しばらく時間が経過し、主人公の番が回ってくるのだが——といったお話です。
カクヨムで小説を執筆している方や、何かにひたむきに取り組んでいる方、苦しい現実に直面して要らないものができた方にすごく刺さる内容だと思いました。読んでいて、私も共感するところがありました。本作はきっと、様々な人が共感を覚えるはずです。
誰もが相対するような深いテーマに、フランクな文体や台詞が巧みに組み合わせられていて、するすると読むことができます。
今の現実から一歩前へ進みたい方、この作品は非常におすすめです。ぜひ、ぜひご一読ください!
面白い寓話です。人間の未練だけを燃やす火葬場。そもそも葬儀ってそういうものだったりしますので、何も死に別れた人だけでもよくね? という発想が秀逸ですね。
さて本作はその設定を用いて、作者の蒔文歩さんその人が主人公として登場します。そして燃やしたいのはなんと「創作意欲」。実際ご本人も受験に勤しまねばならぬ状況で、さらに創作をしているひとなら誰でも感じる悩みと相まって、いっそ創作意欲なんかなければいいのに、と火葬にしてやろうとします。結末はネタバレになるので控えますが、はて主人公の蒔さんではなく、作者の蒔さんが創作意欲を投げ捨てたいと本当に思ったのか。たぶんこのお話のまんまではないんでしょうけど、何らかの葛藤はあったんだと思います。で、自分なりの結論を(とりあえず)得て、そこからこの物語を発想したのかと。その結論は、タイトル「燃えるものならなんでも」とキャッチコピー「だって、全部自己満足だから」に滲み出ています。燃えないものこそ本物であり、自己満足だからこそ消すことはできない。高校生でこの結論に至るって何ですかこの人って感じですが。創作に勤しむ人は是非読んでください。あるある、と頷くこと請け合いです。
【レビューコンテスト応募】