明るくて人懐っこい主人公、その奥にずっと残り続けている、過去の傷。
単に「辛い過去を持つ主人公」というだけではない。
主人公が心に孤独を抱えながら人と接してきたのかが少しずつ見えてくる作品
普段の会話は軽くて温かいのに、雨や声、何気ないきっかけで過去が入り込んでくる。そのたびに日常の空気がふっと変わるのが印象的。
この作者様は繊細な描写がとても得意な方なのだと感じます。
心の揺れ動きといった様な。
自分にはない物なのでとても勉強になりました。
普段BLといった作品はあまり嗜んでおりませんでしたが、この作品はとても繊細で優しい。抵抗がなければとても楽しめる作品だと思います。
18話前編までですが、ここから主人公が自分の過去とどう向き合っていくのか…続きを少しずつ読ませていただきます。
旭可南は仕事では成功を収めながらも、奇妙な夢を見ます。
そして雨の中で呼ぶ声という謎が、序盤の物語を牽引していきます。
明るい日常と、暗い秘密の落差の描写が特徴的で、コミカルな描写には何度もクスッとさせられました。
ただその裏側には、過去のトラウマなど薄暗さがあり、物語全体に独特の空気が漂っている印象を受けました。
また、雨の使い方が巧みで、安心をもたらすものであり、同時に恐怖を呼び起こすものでもあるため、その描写から自然と緊張感が生まれます。
なにより心に残るのが、可南の笑顔です。
その笑顔が自分を守るためでもあるという、人間性の深みに迫る描写もとても印象的でした。
平穏な日常と不穏な空気が、絶妙のバランスで混ざり合う本作。
ミステリーとしても心理ドラマとしても読める、深みのある物語をぜひお楽しみください。